とにもかくにも、それから、穴掘りに燃えたんだ。

　でも、たとえ穴が僕の体をまるまる隠すくらいにまでなったとしても、宝物が見つかる気配は全くなかった。
　目覚めたランプベリーは、ただ、身をかがめて穴をのぞき込んでいるだけだった。

「おーい、少年よ〜。夕陽に染まる景色がきれいじゃぞぉ〜」
　少し離れた場所から、おじいさんの声が聞こえてきた。

「──」　相手にせず、ガシガシとシャベルを動かし続ける僕。

「よかったら、こっち来て── 　一緒に、摘みたての、いちごでも食わんかぁ〜？」
「──」　なんで、よりによって──。女子じゃあるまいし。
　グウー…　　お腹が鳴った。
　・・・　 ──なんの、なんの！

　そのまま掘り続けた。

「もう、そのへんでやめんと、地上に戻れなくなるぞぉ〜」
「──」　──んなわけないじゃん。

　掘り続けた。

　でも、そのあとも、何の成果も生まれなかった。
「──」　　ああ、なんだか、むなしくなってきたかも──。
　・・・　　──なんの、なんの！

　掘り続けた。

「──」　お腹減りすぎて、力はいんなくなってきたかも──。
　・・・　　──なんの、なんの！

　掘り続けた。

「その調子で掘っていても──　 宝物は見つからんのじゃなかろうかぁ〜？」
「──」　シャベルの動きをピタッと止めた。