合格発表当日──。

　当時、その大学の合格発表は、テレビ局によって中継放送されるのが恒例だった。テレビカメラが“合格者名簿”をじゅんぐりとなぞってくれるので、一人ひとりの合否が、そのテレビ放送を観るだけで、はっきりわかるのだ。

　発表会場まで遠かったこともあり、まず、そのテレビ放送で合否を確認すると決めていた僕は、家のテレビの前で、今か今かと待機していた。

　──いよいよ、その放送が始まった。　　ドキドキドキ…

　しばらくすると、僕の学部の合格者名簿をカメラがなぞり始めた。受験番号と氏名の列が画面上を流れている──。
　高鳴る鼓動──
　　ドキドキドキ…　 名前があってくれ！　ドキドキドキ…
　僕の受験番号は270番台──
　合否が判明するタイミングは、その受験番号から、おおよその見当がついた。

　 ──100番台に入った。
　　ドキドキドキ…　 頼むぜ！　合格してろ！
　　ドキドキドキ…

　──200番台に入った。
　　ドキドキドキ…

　いよいよ僕の受験番号に近づいてくる──。
　──230番台、　──240番台、　──250番台
　　ドキドキドキ…

　──260番台！
　　ああ、もうすぐだ！

　──270番台！！
　　ドキドキドキ…

　そして──
　その番号を飛び越えていったんだ。
　　ない。
　当然、僕の名前もなかった。
　　・・・

　不合格──

　人生の形どりの失敗──
　　ズドドドーン！！