夏休み──
　彼女と僕は、図書館で勉強することが多くなった。

　休憩時間に、あれこれ一緒に話をするのは、僕らにとっての、ささやかな潤いだった。
　それぞれの苦手科目は、ちょうど、お互いの得意科目だったので、そのあたりを相談し合うこともできた。

　ある日、僕が、彼女に相談したときのこと──
「古典ってさあ、無味乾燥で、さっぱり頭に入らないんだ。どうしようもないね？」と僕。
「フフッ。大昔の人も、今の人も…　同じ人間よ。そりゃあ、たしかに、言葉を始めとして、今とちがっているところも多いわよ。でも、感情の動きとか、男女の恋心とか…　似ているところも、たくさんあるわ。
　それに──
　大昔の人たちが紡いだ言葉を、今こうして読めて、その意味がわかるのって、何だかすごくない？」
「まあ、言われてみれば、そうかも──」
「──あっ、そうだ！」
「え？　何だい？」
「うん。今、ひらめいちゃった。例えば、似ている‐異なっている、同じ‐ちがうってさあ、区別する‐一緒にすると同じで、『On　Off』のプチ・マップで表現できるわよね？」

「あっ、そうだよ！
　なるほど、これらも“ライフのあり方”の例なんだね」
「そうよ。
　だって、みんな同じ人間だもみんなちがう人間だも、両方とも一理あるんですもの♪」