「ただいま〜♪」　コンパリーチェが帰ってきたのは、その翌日の日曜の正午過ぎだった。
「おっ！　おかえり。 ──どこ行ってたんだい？」
「キャハハーン♡♪　ヒ・ミ・ツ？」
「ったく──」
「そっかあ。出会ってから、手をつないだこともないとはねぇ〜♪」
「──な！？　それって、もしかして──」
「キャハハホーイ♪　バレた？　瑠音ちゃんのところに行ってたのよ。キャハ♡　実際に会うと、もっとカワイイ子ね？♡」
「ああ！？　か、勝手なことすんなよ！　彼女、すっげえビックリするじゃん！」
「まあ、最初はね。でも、すぐ仲よくなっちゃった♪
　いろいろおしゃべりしたり、悩みを打ち明け合ったり…
　 ──キャハハハーイ♪　彼女のお姉さんも妊娠中なんだって。楽しいね。
　それに、あなたのこと、いっぱい誉めといたからね。
イメージアップ間違いなしよ。キャハン♡♪
　──しっかりね♡♪」
「オフ」
　コンパリーチェは机の上に舞い降り、針の絵の動きも止まった。
　それから、しばらく深呼吸を繰り返した僕は、それを口にした。
「オン」
　フワリン！
「キャハハハーイ♪」　フワフワ舞い始めるコンパリーチェ。
「──。 あれ、さっきは──　ゴメン」　思わず謝った。
「キャハ？　さっきって、何のこと？」
「──」　・・・
「応援しているからね。瑠音ちゃんと一緒に力を合わせて、夢を実現させてね♪」
「──あ、ありがとう」
「どういたしまして♪
　──あっ、そうだ。わたし、そろそろ、お昼寝しなくっちゃ」
「あっと、そうだ。アレ、ソレ、妊娠、おめでとう。元気な赤ちゃんを産んでくれ」
「キャハ♡♪　どうもありがとーう！♪
　それに、なんと言っても、あのおまじないのおかげだからね♪　ランプベリーゴー、ランプベリーゴー♡♪
　予定日は来年の春頃なんだって──。 楽しみ〜♡♪　キャハハ♡♪
　──じゃあ、またね。おやすみなさーい♪」
「おやすみ」　
　コンパリーチェは自分から机の上に舞い降り、静止した。