それから、しばらく深呼吸を繰り返した僕は、それを再び口にした。
「オン」
　フワリン！
「キャハハハーイ♪」　フワフワ舞い始めるコンパリーチェ。
「──。 あれ、さっきは──　ゴメン」　思わず謝った。
「キャハ？　さっきって、何のこと？」
「──」　・・・
「応援しているからね。瑠音ちゃんと一緒に力を合わせて、夢を実現させてね♪」
「──あ、ありがとう」
「どういたしまして♪
　──あっ、そうだ。わたし、そろそろ、お昼寝しなくっちゃ」
「あっと、そうだ。アレ、ソレ、妊娠、おめでとう。元気な赤ちゃんを産んでくれ」
「キャハ♡♪　どうもありがとーう！♪
　それに、なんと言っても、あのおまじないのおかげだからね♪　ランプベリーゴー、ランプベリーゴー♡♪
　予定日は来年の春頃なんだって──。 楽しみ〜♡♪　キャハハ♡♪
　──じゃあ、またね。おやすみなさーい♪」
「おやすみ」　
　コンパリーチェは自分から机の上に舞い降り、静止した。

　──その日の夕方、彼女から電話が来た。
「ビックリしちゃったよ！　紙がフワフワ浮かんで、しゃべっちゃうんだもん！」
「こっちは、５年経っても、いまだに驚かされているから、さぞかし驚いたと思う。ビックリさせて、ごめんよ」
「ううん。今は、もう大丈夫。 ──それにしても不思議ね？」
「ああ、全く不思議だよ」
「──アノ、たしかに不思議で驚いたけど、いろいろ話せて、楽しかったよ」
「そう？　そう言ってもらえるとありがたいよ」
「それで──　いつか、私にも、７つのワクワク枠のことを詳しく教えてもらえたら、うれしいんだけれど、──ダメかな？」
「ダメもなんも、喜んで。なんなら、今すぐ、教えようか？」
「フフッ。ありがとう。でも、今日はもう遅いから、また今度お願いします」
「そうだね。では、また今度」
「勉強、頑張ろうね」
「ああ、お互い、頑張ろう」
「おやすみなさい」
「おやすみ」