「あっ、そうだ！　あれ、“カワウソ”っているじゃん」と僕。
「え？　あの、かわいらしい動物よね？」と瑠音。
「そうそう。それで、カワウソってさぁ──　主に川辺で暮らす“イタチ科の哺乳類”なんだよ」
「え？　──ウソぉ？」
「ホント。それで、昔から日本の川辺に生息していた“イタチ科の哺乳類”は、“ニホン・カワウソ”と呼ばれているんだ。ちなみに、海辺で暮らす“イタチ科の哺乳類”は、ラッコだよ」
「へえー。さすが理系。
　──私、ニホン・カワウソって見たことないよ」
「こっちもだよ」
「──アハッ♪　どこの動物園に行けば、見られるのかなぁ──」
「え？」　・・・　「きっと、 ──どこの動物園に行っても見られないと思う」
「え？　どうして？」
「だって──　絶滅しただろうと言われているから」

「ええー！？」　彼女は立ち止まった。
　僕も一緒に立ち止まった。
「昔から日本で暮らしていたカワウソ、ニホン・カワウソは、ずいぶん前から生息が確認されていないんだって──」　僕の説明は、絶望的だった。
「──そう。 ──。 ──悲しいね」　明らかに曇っている彼女の表情──。
「ああ。そうだね」　共感している僕の表情──。