結局、いろいろ話を聞けるかもしれないと思った僕は、再度、ペーパー・コンパスを手に持ってみた。
「ほーい♪　何か御用でございましょうか〜？♪」　回転しているコンパスの針の絵──。
「僕の名前は、さんぽです」
「君の名前は、何ですか？」
「わたくしの名前は、コンパースでございますぅ〜♪」
「──」　・・・　「コ、コンパース、あ、あの、その、教えてほしいんだ。岬で出会った、おじいちゃんの正体は？」
「デアッタ？──」
「ほら、いたじゃん。岬のあの場所に、ほら、ほれ、あれ、親指を立てて、前後させて、心笑んでいた──」
「イタジャン？　ココエンデイタ？　──わからないでございますぅ〜♪」
「──え？」　・・・　「──じゃさあ、この『カタチ　コトバ　カラダ　アタマ』の枠を利用したプチ・マップの作り方は？　どんな作り方があるんだい？」
「プチ・マップの作り方は、フレーム・オーナーのお好みでございますぅ〜♪」
「フレーム・オーナー？」
「フレーム記入者、および、フレーム・ホルダーのことでございますぅ〜♪」
「──そ、そうなんだ」　・・・　「──ふわあぁぁ〜」　なぜだか、大きなあくびが出た。
　それから僕は、枕元にペーパー・コンパスを置きながら、再び、ベッドに横になった。