第3フレームを利用したプチ・マップ作りは、一筋縄では行かなかった。
　その後も、そのことを何度も考えてみたものの、さっぱり意味がわからないまま、ときが過ぎるだけだった。
　そして、夏が終わりを告げ──
　秋が深まりつつあった、ある晴れの日の朝──
　ランプベリーが息を引き取ったんだ。

　 ──ショックだった。泣いた。へこんだ。

　それでも、日中に一家で一通りのことを済ませた。

　その日の夕方──
　僕は、ベッドの上に横になり、天井を眺めながらランプベリーのことを振り返った。

　ランプベリーは、祖母の家で生まれて間もない子犬の頃に、おじさんの車で運ばれて初めて家にやって来たんだっけ──。
　初めて家に着いたとき、ダンボール箱の中で“クンクン、クンクン…”と鳴いていたランプベリー。
　おそるおそる初めて抱っこした僕の顔をペロペロしていたランプベリー。
　投げたボールを、しっぽを振りながら追いかけたランプベリー。
　初めて外の犬小屋で夜を明かす晩に、遅くまで付き添っていたときの不安げなランプベリー。
　毎日のように海辺や川辺へと一緒に散歩していたランプベリー。
　子犬を三匹産んだランプベリー。
　おじいさんにじゃれつき、顔をペロペロなめていたランプベリー。
　穴を掘り続けていた僕を、のぞきこんでいたランプベリー。
　イチゴを器用に食べていたランプベリー。
　砂浜をかけまわっていたランプベリー。
　仰向けになり、じっと気持ち良さそうにしていたランプベリー。
　励ますかのように、そばに寄り添ってくれていたランプベリー。
　…

「大丈夫でございましょうか？　よろしければ、代りに、わたくしをランプベリーとお呼びになるのでございますぅ〜♪」　心配してくれたコンパースが、そのように声をかけて励ましてくれたこともあった。でも──、 ──それでも、ダメだった。

　それから何日か経過したある日──
　いつもの散歩コースにある橋の端に座り、そこから、山の端に沈もうとする太陽が生み出す“川面のキラキラ”を、ぼんやりと一人で眺めていた。

　この光景を、何度、ランプベリーと一緒に眺めただろう？
　──なんで、死んじまったんだよ？　ランプベリー。
　・・・

　どれくらいの時間が経ったのだろう。
　ある考えに、ようやく、たどり着いたんだ。
　──わかったよ。ランプベリー。

　ゆっくり立ち上がった僕は、家へ向けて、思い出いっぱいの散歩道をしっかり歩き始めた。