そのとき、なぜか──
　３匹の子犬たちを産んだランプベリー
　僕らを出産してくれた母
　何年も幼虫として地中で暮らし、
　　ある夏に羽化して成虫として次世代を生むセミたち
　多くの種を実らせるヒマワリ …
　のことが、次から次へと頭に浮かんだ。

　そうだ。
　生きものたちは、決して、ただ生まれて死ぬだけじゃない。
　生きている間に、精一杯“ライフのリレー”を達成しようとしているんじゃないか？

　この“ライフのリレー”は、この地球上の生命の誕生のときからずっと何十億年も続いているはずだ。
　だから、今生きている生き物たちは、本来、全力で“ライフのリレー”を達成しようとしている真っ最中であるはずだ。

　確かに、おじいちゃんのように、実の子孫を誕生させるという形では“ライフのリレー”を達成できない場合もあるだろう。
　しかし、その場合も、別の形で、別の意味で“ライフのリレー”を達成できるんじゃないか？　それこそ、おじいちゃんが、はっきり証明してくれているように──。
　それに、どんな場合であっても、何らかの形や言葉で、ほかの誰かの“ライフのリレー”を助けることは可能だろう。
　・・・

　将来、実の子孫を誕生させられようが誕生させられまいが、どちらにしても関係ない。僕も、この“ライフのリレー”を何らかの形や言葉で全力で果たしたい。応援したい。それは、おじいちゃんを生かすことにもなるはずだ。 　・・・

　おじいちゃん──　オレ──
　フレーム・マスターになりたい。
　──なるよ。
　そして、おじいちゃんが遺してくれた形や言葉、心…　つまり、おじいちゃんの“ライフ”を生かし続けるんだ。