「少年よ──」
「ん？」
「フレーム・フォー・ライフを知っておるじゃろうか？」
「──フレーム…」
「フレーム・フォー・ライフ──　フレー！　フレー！　フレーム、あるいは、ワクワク枠とも呼ばれておる」
「ううん。知らないよ。 ──え？　何なの？　それって」
「フレーム・フォー・ライフは、ライフのためになるフレームじゃ。このライフには、人生はもちろん、生活、生命、いのち、生きること…　も含まれる」
「そのライフって、だれのライフ？」
「みんなのライフじゃ。おまえさんやわしを含むみんなのライフ。 じゃから、このフレームは、少なくとも、今、地球上のすべてのライフのためになる」
「──」
「──このフレーム・フォー・ライフが具体的に何なのか、聞いてみたいと思わないかい？」
「──」
「少しは、聞いてみたいと思うじゃろう──」
「──。　──。　──」　　・・・
「アッハッハッ！　そうか──」　おじいさんは、ゆっくりと立ち上がった。「──うん。では、わしは、帰るとするかの。
　──じゃあ、達者でな」
　おじいさんは、やわらかな笑みを浮かべつつ軽く手を振りながらうなずくと、ゆっくり歩き始めた。
　　──ああ、行ってしまう。
　おじいさんの後ろ姿は、だんだん小さくなり──　ついに見えなくなった。

　それまでのいきさつが、しばらく映画のように頭の中を流れた。