とある休日──。
「みんな、今から、父実験をするよ」　瑠音と、ちびっこたちを前に、僕は言った。「ここに１つのスーパーボールがあります。このスーパーボールを約２メートルの高さから、静かに、そうっと床の上に置けば、何が起こるでしょう？」
「何も起きるわけないじゃん」 「何も起きないよ」
「本当に？」
「本当さ」 「本当だよ」
「じゃあ、実際にやって確かめてみよう」
　スーパーボールを約２メートルの高さから、静かに、そうっと床の上に置いた。
「ほら、何も起きないじゃん」 「やっぱりだ！」
「おお、本当だったね。何も起きなかったね。うん。それでは、次の実験に移るよ。もし、このスーパーボールを、床の上、約２メートルの高さで手を離せば、何が起こるでしょう？」
「簡単だよ。ポーンってばずむよ」 「そうはずむ！」
「本当に？」
「本当に」 「本当だよ」
「じゃあ、実際にやってみよう」
　手を離すと、スーパーボールは、ポーンと弾んだ。スーパーボールが最高点に到達したタイミングで、僕は、それをキャッチした。
「ほら、はずんだ！」 「やっぱりだ！」
「お、正解だ。予想通りだったね。
　これで、父実験は、おしまいです。　──そこで、問題。
　スーパーボールを手を離したら、ポーンと弾むのに、そうっと置いたときに、何も起きなかったのは、なぜでしょうか？」
「なぜだろう。考えてみるよ」「ゆっくり、考えてみるね」