僕はベッドの上に横になり、天井を眺めた。

　初果陽 瑠音さん──
　最初は、リクツ抜きで、ただただ“好きだなあ”って感じで、いわば感情的に惹かれていたんだっけ。そうだ。好きキライは、感情、つまりは『カラダ』の方向で決まることが多いだろう。

　それに対して、のちに、瑠音さんと知り合うことで、さらによい子だなと思って、ますます惹かれているのは、単に感情的に『カラダ』の方向だけで惹かれているのではでなく、『アタマ』の方向も関わりながらも惹かれているってことなのだろう。
　それは、好きキライに比べて、よい悪いは、感情、感覚、感性…を含む『カラダ』の方向だけでなく、想像や思考、リクツ、論理、理想、予想、見込み、見通し、将来、長い目、長期的視野、周囲への配慮、周囲への思いやり、社会的視野、地球的視野、広い視野…を含む『アタマ』の方向も関わって決まることが多いからだろう。
　よい子だけでなく、よい性質、よい性格、よい行い、よい判断、よい選択、よい見本、よい参考、よい成績、よい結果、よい環境、よいコンディション、よい考え、よいアイデア…　どれも『カラダ』と『アタマ』の両方向が関係しているだろう。
　中には、気持ちよい、心地よい… を含めて、ほとんど『カラダ』の方向だけが関わっているように思われる“よい”もあるけれど、それでも、好きキライよりよい悪いが『アタマ』の方向へ意味が広がっているのは確かだろう。

　まとめれば──
　好きキライが『カラダ』の方向にあるとすれば、よい悪いは、相対的に『アタマ』の方向にあるだろう。