「おまえさん──　今、好きな女の子は、おるじゃろうか？」　おじいさんは、ふと僕に尋ねた。
「気になる子は、いるけど──」　僕は、素直に白状した。
「その子のこと、どう思う？」
「どう思うって──」
「じゃあ、女の子を、どう思う？」
「知らん。あいつら、それこそ異星人のような存在じゃない？」
「じゃあ、その、気になる子のことは？」
　・・・　「──同じ？」
「若者よ」
「ん？」
「若者に、いろーんな者がおるように──　年寄りにも、いろーんな者がおる。男に、いろーんなヤツがおるように──　女性にも、いろーんな方がおる。
　それは、いろーんな鳥がいたり、いろーんな魚がいたりすることと同じじゃ」
「──」
「もちろん、性別、年代…　そういった肩書きから、初めて見えてくるものも、あるじゃろう」
「──」
「じゃが、一方でな──　表情を見せ合ったり、言葉を交わし合ったり…　相手と直接向き合って初めて見えるものも、たーくさん、あるんじゃ」
「──うん。つまり、相手のライフに飛び込んで初めて見えるものもいっぱいあるんだね？」
「まあ、そういうことじゃな。 ──うん。さすが若者じゃ。では、そろそろ、次のパラダイムについて話そうかの」　おじいさんは、そう言いながら、ほとんど乾いている地図を手に取った。
　それをゆっくりと裏返すと、口を開いた。
「──では、行くぞ？」
「ああ、さあ来い」