「例えば、お店に並んだ果物や野菜や穀物を、お金を支払って買うことは、きっと、めぐりめぐって、農業を営んでくださる方々、農産物を運送してくださる方々、それをお店で売ってくださる方々に、恵みやフルーツに相当する何かを与えることにつながっている──。
　それは、例えば、お店に並んだ“自転車、本、CD、ノート、鉛筆、消しゴム…”を購入するときも同じだよ」と僕。
「あっ、そうか──。お金は、いずれ新たな“恵み＆フルーツ”の交換に至りうるから、お金を支払って何かを買うことが間接的に恵みやフルーツを与えていることになりうるのね？」と瑠音。
「その通りさ。
　一方で、すでに、恵みやフルーツに相当する何かそのものを直接与えることによって、僕らは人間社会レベルの『For』に相当する『Love』をお返ししているときもある。
　例えば、感謝、応援、支持、励まし、ファンレター、オマージュ、作品、知恵、アイデア、ヒント…を示すことも、恵みやフルーツを直接与えることに相当していると思うよ。
　だから、恵みやフルーツに相当する何かを、将来それらと交換できるお金を介して間接的与えることは、人間社会レベルの『For』に相当する『Love』をお返しすることの一部にすぎないはずさ。
　いずれにせよ、受けとると同時に、こちらからお返しする『For』の方向の言動としての『Love』についても、多々、例を挙げられる」


「つまり、私たちは、さまざまな形や言葉で、恵みやフルーツを与え合っているのね。すでに──」
「そうさ。こういった恵みやフルーツの与え合いの関係こそが、人間社会レベルの『For』に相当する『Love』の与え合いの関係──　恵み-恵みの関係、フルーツ-フルーツの関係、『For』-『For』の関係、つまり、『Love ‐ Loveの関係』なのさ」
「アハッ♪　相思相愛の関係は、ふつうの恋愛関係だけに限らないのね──」
「そうだね。しかも、片想いや一方通行も恋愛関係だけに限らない。
──だから、『Love ‐ Loveの関係』を構築できるかどうかは、恋愛関係にとってのみならず、さまざまなフルーツや恵みを生み出したり、提供したり…を含むあらゆる活動にとっても、存続するかどうかを決める重要なカギの１つなんだと思うよ」
「そうね。 おもしろーい♪」