「それじゃあ、話し言葉や書き言葉などを使った高度な情報伝達ができない別の種たちにとって、健やかな全人類レベルと同じレベルのライフを誕生させることは難しいのね？」と瑠音。
「そう。たとえ、アリやハチにとっても、チンパンジーやボノボにとっても、イルカやクジラにとっても…難しいのさ。
　しかも、話し言葉や書き言葉などを使った高度な情報伝達ができる人間社会レベルのライフたちにとってさえも、健やかな全人類レベルのライフの誕生は可能性の話にすぎず、まだ実現していないことだよ。ただ、それでも──　健やかな全人類レベルと同じレベルのライフの誕生は、すでに、この宇宙で実現しているはずだよ」と僕。
「──健やかな全ペーパー・コンパス類レベルのライフね？」
「そうさ。ペーパー・コンパス社会レベルのライフたちは、話し言葉や書き言葉などを使った高度な情報伝達によって、健やかな全ペーパー・コンパス類レベルのライフの誕生をすでに実現しているはずなのさ。そのおかげで、あれほど高度な科学技術を健全に利用できているはずだから」
「──アハッ♪　さすがよね」
「そうだね。だから、健やかな全人類レベルのライフの誕生は、決して夢物語ではなく、十分に実現可能なんだよ。
　いや、単に実現可能なだけでなく、実現するべきなんだ──」
「この健やかな全人類レベルのライフの誕生が前提となって、“For 生態系”を十分に実現できるからね？」
「その通りさ」