ランプベリーに寄り添われながら、しばらくの間、流れる雲をぼんやりと眺めていた。
　すると、突然、ある雲の集まりに目が釘付けになった。
　あれは、バナナに見えるなあ。 あ！　あれは、りんごに見える！　あれは、みかんだ。 …
　そのときだ。“フルーツのヨーグルト和え”が給食に出たときのことを思い出したのは──。
　そういえば、“フルーツのヨーグルト和え”が出た給食の時間だけは、最高だったなあ。
　それは、苦難に満ちた小学校の給食の時間の例外だった。年に数回“フルーツのヨーグルト和え”が出たときだけは、それが大好きだったからだけでなく、たいてい苦手な食材が全く伴っていなかったので、なおさら、稀少で、ありがたい、幸せタイムとなっていたのだった。
　──ああ、おいしかったなあ。また、食べてみたいよ。
　おじいちゃんの、あのおいしいいちごも、また食べたいなあ。
　そういえば、食後のデザートに母が出すフルーツもおいしい。
　・・・
　フルーツって、何で、あんなに、おいしいのだろう？

　ああ、フルーツのような何かを生み出す将来の夢は、このような体験の影響もあって、生まれていたのだろうなあ。
　・・・

　僕は、やっぱり、フルーツのような、おいしい何かを育みたい。ときに、満ち足りた気持ちになれるような、ときに、生き返るような気持ちにもなれるようなフルーツのような何か──。
　それに、みんなに喜ばれるフルーツのような存在になりたいよ。
　・・・

　──そうだ！
　僕は、あのときの“フルーツのヨーグルト和え”のような何かを育みたい。あのときの“フルーツのヨーグルト和え”のような存在になりたい。
　ライバルは、あのときの“フルーツのヨーグルト和え”だ！

　それに、あのときの、いちごのような何かも育みたい。あのときの、いちごのような存在にもなりたい。
　ライバルは、あのときの、いちごだ！
　・・・