その出会いは、とても不思議なものだった。
　中学に入って初めての初夏──　そもそものきっかけは、“それ”を海辺の砂浜で見つけたことだ。
　　──ん？　何だろう？
　キラリと輝く何かが砂浜の上に見えた。近づいてみると、流れ着いたであろう1本のビンだった。その中には、紙が折りたたんで入っていた。
　　──手紙？
　それをビンの中から取り出して広げてみると、そこには地元の地図が描かれていた。よく見ると、岬の先端近くに○印が付いていた。
　　──宝の地図？
　一緒に連れて来ていた愛犬のランプベリーは、勢いよくしっぽを振っていた──。
　　うーん。　・・・
　結局、それが宝の地図であると確信した僕は、決めたんだ。
　　うん。ランプベリーの散歩もかねて──
　　宝探しに出かけよう！

　急いで帰宅した僕は、大きなシャベルを手に取ると、さっそくランプベリーと一緒に出発した。
　目標ポイントにたどり着くためには、予想外に、急な坂を上らなければならなくて──
「ハア、ハア、ハア … 」
　坂を上り終えたときには、僕の息は乱れきっていた。
　ふと前方を見ると、下り勾配の先に、キラリと輝く何かが見えた。

　　──お！？

　全身に力がみなぎった。
　　あれは、きっと、探し求めた宝物だ！
　僕は、シャベルを強く握りしめると、顔をほころばせながらランプベリーとともに勢いよく坂を駆け下りた。
　　よっしゃあ！