「それに、For Life を目指すために、やむなく甘受すべき“一時的な『Against』 ”も、きっとあるはずだよ。
　例えば──
　おじいちゃんが本気で怒りながら“人生はこれからなんじゃ”と励ましてくれたときの心の痛み
　休養の大切さを教えてくれた、スランプのときのつらさ
　ペース配分の大切さに気づかせてくれた、急な坂を上る際のしんどさ
　コンパルンクルに“思いやりの心”や“楽しみにする心”の大切さを教えてあげることとなった、試験期間中の君に会うのを我慢させるつらさ… とか？」
「アハッ♪　そうよね。
　こういった一時的な『Against』たちはどれも、For Life を目指すための起点や転機、試練の意味を持っているのね。
　ほかにも──
　子供が歩き方を身につける頃の、転倒の際の痛み
　健康のために乗り越える、採血や点滴などの際の針の痛み
　元気な赤ちゃんを生むために乗り越えるつわり… も同じで」
「そうさ。だから──　痛み、つらさ、しんどさ… は、なくてすむな
ら、それに越したことはないけれど、こういった『Against』を甘受する一時的な『Against』ライフは、ときに、For Life の実現に近づくための貴重なプロセスになりうるのさ」と僕。
「プロセス──」
「そう。もちろん、ときには、こういった一時的な『Against』ライフが心の傷をもたらし続けたり、さらなる悲劇の原因になったりすることもありうる。
　そうなるかならないかの分岐点は何かというと──　ある『Against』ライフを経験したとしても、その後に、For Life を目指せるかどうかなんだよ」
「ええ、そうね──。　──。　──あ、そうだ！
　そういう意味でも、イヤな連鎖を断つこと──　“『Against』 の連鎖を断ち切ること”は大切になるよね？」
「え？──」 　・・・　「──もしかして、あのこと？」
「そう。
　──ちょっぴり見直したでしょ？　アハハッ♪」

　すごく見直した。
　『Against』 を連鎖させないこと──
　彼女が、かつて、クラスメートに向けて取っていた、あの態度が、これほど、すてきなものだったとは──。