「もしかしたら、“忘れながら、ゆるす”、“forgetしながらforgiveする”は──　“『For』を得ながら『For』を与える”という、より一般的な知恵の1例なのかもね？」と僕。
「──ええ、そうよ！
　例えば──
　自分が喜びながら誰かを喜ばせる。
　自分が楽しみながら誰かを楽しませる。
　すてきな思い出を作りながら、すてきな思い出を作らせてあげる。
　いつか実現したい夢や目標を見つけながら、いつか実現したい夢や目標を見つけさせてあげる。
　…
　どれも同じなんだわ」と彼女。
「そうだね。どれも、“忘れながら、ゆるす”、“忘れながら忘れさせてあげる”と本質的に同じで、『For』を得ながら『For』を与えていることになるんだね」
「そうよ。
　しかも、このように、自分自身のためになりがら相手のためになっていることは、For Life 志向に適っているわ♪」
「つまり──
　例えば、忘れながら忘れさせたり、楽しみながら楽しませたり、喜びながら喜ばせたり… によって、『For』を得ながら『For』を与えること、自分と相手の両方のためになることが可能であり──　そうすることによって、『For』こそを与え続ければ、可能な限り『Against』の連鎖を断ち切りながら、For Life 志向を貫くことができる──　そのような深い考えが、かつて君がクラスメートに向けて取っていた、あの態度の奥にあったんだね」と僕。
「ええ、そうなのよ。──って、そんなわけないでしょ」　そう言って、はにかむ彼女。