夏休み前の最後の日曜日の正午過ぎ、僕のアパートにて──
「ピピピーピピー♪　ピピピーピピー♪」　コンパルンクルが、フワリフワリと波打つような空中遊泳をしていた。
　その“上下に流れるような動き”は、あたかも“第７フレームが示す流れ”を描いているようでもあった。
「あー、私のせいだ。私がいっぱい歌を歌ったばっかりに──。私の育て方がまずかったんだわ。きっと──」と瑠音。
「そんなこと、ないんじゃない？」と僕。
「──まあ、確かに、これからも少しずつ発達してくれそうな気もするわよ。でも、ほかのやり方をしていたら別のあり方をしていたかもしれないと思うと、なんとなく不安というか、失敗のように思われるというか──」
「──自信ない？」
「ええ、ないわ。　──いえ、ある？　いえ、ないわ──」
「フフッ。 僕からすると、今までのやり方で十分よかったと思うよ。コンパルンクルが健やかに育っているからこそ、ピピピーピピー♪があるような気もするし──」
「そう思う？」
「うん、そう思う。それに、ほら──　何より、コンパルンクルは、こんなに楽しそうにしているよ」
「──ウン。 ──。 しばらく、このまま様子を見ようかな？」
「うん。それがいいよ。きっと」