その後も相変わらずフワリフワリと上下に波打つように空中遊泳しているコンパルンクル──。

「あ、そうそう、思ったんだけどさあ、第７フレームって、あれを連想しない？　あれを──」と瑠音。
「あれって──　もしかして、あれのこと？」と僕。
「そう、それ。前に話した“社会の中で前進するために乗り越える、社会的なハードル”を連想するわよね」
「え？　君のあれって、それのこと？　──僕は全然違ったことを連想していたよ」
「え？　あなたのあれって何だったの？」
「うん。活性化エネルギーってやつ？　生物学や化学の中に登場していたよね？」
「──え？」
「さまざまな化学反応は、活性化状態、いわば“エネルギーのハードル”を越えて初めて達成されるってやつさ」

「っもう、理系なんだから──」
「しょうがないじゃん」
「フフフ♪」　「アッハッハッ！」

　これらの違った連想内容が１つにつながるとは、当時、夢にも思わなかった。