ケーキを食べ終えて満足してくつろいでいる瑠音 with 加湿マスク＆僕 with 加湿マスク──。
「カゼの予防や治療に役立つこととして、十分な睡眠や休養、適度な栄養摂取や絶食、適度な水分摂取、保湿や保温、手洗いやマスクの着用…は、もちろん挙げられるけど、さらに、ほどよくリラックスしてストレスをためすぎないことも挙げられるよ」と僕。
「そう聞くわよね。それって、どうしてなのかしら？」と彼女。
「適度にストレスが解消されているおかげで、免疫細胞たちの働きが、ほどよく保たれるからだよ。
　それは、免疫細胞たちの数や性質がほどよく保たれるからだけでなく、末梢の血流がアップして、それらの体の中の分布がほどよく保たれるからでもある──」
「ふーん。　──免疫細胞ってさあ、カゼのウイルスとかを、やっつけてくれるんでしょ？」
「そうそう、その通り。それらの免疫細胞たちは、いろんな種類で構成されていて──　協力し合いながら、カゼのウイルスとかから、体を守ってくれているんだ」
「ウン──」
「だから、免疫力をほどよく保ってくれるような“過剰なストレスの解消”なら、どれもカゼの対策として有効だと思うよ」
「例えば？」
「例えば、もし疲れてヘトヘトだったら、なおさら、十分な睡眠や休養が有効だろうし──　もし大好きな趣味を楽しみたいのを我慢し続けて欲求不満がたまっていたら、その趣味を楽しむことが有効だろうよ」
「つまり、個人差がありうるのね」
「そう。そういう意味では、カゼ対策にも相性がありうるんだよ」
「──ウン」
「──そうそう、もし、過度の空腹のせいで、フラフラしていたり、力が出なくなっていたり、体調がおかしくなっているならば、適度に栄養を補給することが大いに有効だろうよ」
「うん♪　 ああ、おいしかったあ♡　私、幸せ者だよ。満足、満足」
「それから、これ──」　僕はポケットから小さな箱を取り出した。
「なあに？」
「ちょっと早いけど、誕生日プレゼント──」　そう言いながら、その小さな箱を彼女に差し出した。
「え？」　彼女は、おずおずと受けとった。「──ねえ、中を見てもいい？」
「ああ、もちろん」