「──アハッ♪　最初は周囲の一部の人たちから恵みを受け取っていた赤ちゃんが、成長することで周囲のみんなに恵みを与えられるようになることを思い出せば、

　誰かから恵みやフルーツを受けて
　→その誰かや自分自身を含むみんなに恵みやフルーツを与えて

　誰かから恩や愛を受けて
　→その誰かや自分自身を含むみんなに恩や愛を与えて

　誰かのおかげで生きて
　→その誰かや自分自身を含むみんなのために生きて
　…
　のような『For』の増幅や拡散もあるのかもね。単なる『For』の連鎖やリレー、お返し…だけでなく──」と瑠音。
「──」　・・・　「──なるほど。きっとそうだよ！
　だからこそ、人類がここまで繁栄できたわけだし──。
　なぜなら、仮に、みんながみんな身内の中だけで、本当に“単なる恩返し”や“単なる恩のリレー”だけをしていたなら、農業や工業、科学技術や医療…の広まりという形の『For』の増幅や拡散もなくて、人類は、ここまで繁栄できていなかったはずだから」と僕。
「──フフッ♪　そうね。
　例えば、今のどこかの小学校の先生は、かつて小学生だったときに、当時の担任の先生から恩や愛を受けて、今は、その恩や愛を何十倍、何百倍にも増やして多くの子どもたちに与えている──　このことにも『For』の増幅や拡散があてはまるわ。
　もちろん、これと似ている『For』の増幅や拡散は、教師以外にも、医師、歌手や作家、農家や漁師、学者やスポーツ選手、会社員や公務員、自営業者や経営者…の方々にも、きっと、あてはまるはずよ」
「アハッ。そうだね。
　そういう、いわば“恩増幅社会”や“恩拡散社会”こそが、きっと、“そうあるべき＆そうありたい”本来の社会の姿なんだよ。“単なる恩返し社会”や“単なる恩リレー社会”ではなくて──」
「そうね♪」