遠く離れた砂浜では、ある家族連れが、笑い声を上げながら波と戯れていた。海のキラキラが少しずつ増していた。

「あらゆる多様な物質は、限られた種類の元素という材料をもとにした、組み合わせたり組み分けたりの繰り返しによって育まれている。
　この“組み合わせたり組み分けたり”のプロセスは、きっと、“創造すること”の本質の1つなのさ」と僕。
「──つまり、“組み合わせたり組み分けたり”のプロセスが、あらゆる新しい存在の創造を支えているのね？」と彼女。
「きっと、そうだよ。そのことは、もちろん人間自身も例外じゃないよ」
「え？」
「だって──　例えば、子どもは、“父と母の両方から、それぞれの一部ずつを分けてもらい、それらが組み合わさった上で育まれて誕生している存在”じゃん」
「・・・　あ、そうね──」　彼女の顔が桜貝のように色づいたように見えた。
「もちろん、誕生したあとも、さまざまな出会いや別れを繰り返しながら、子どものライフは育まれ続ける。
　だから、それらの意味でも、子どもは“親の完全なコピー”ではないし、“親を単に足し合わせただけの存在”でもない」
「──子どもは新しい存在なのね」
「そうさ」