コンパースとの会話を再開したのは、それから数日経過してからのことだった。
「それじゃあ、未来のことも、何か話せるのかい？」と僕。
「はい、話せるのでございますぅ♪　わたくしの将来の夢をお見せいたすのでございますぅ〜♪　岬の彼、パラダイム・マスターの中のパラダイム・マスター公認の夢なのでございますぅ〜♪
　心の目でご覧いただけるのでございますぅ〜♪」
「え？」　・・・　「──あっ、見える！」
　それは、コンパースが、結婚して家庭を築いているらしい内容の未来のイメージで──
　　子どもらしき小さなペーパー・コンパスが1枚いて──
　　全部で3枚のペーパー・コンパスが仲良く空を飛んで
　いる──

「うわぉ！　結婚するんだね？」
「そうでございますとも〜♪　好きな相手がいるのでございますぅ〜♪
　彼女と、ずっと一緒に生きて参りたいのでございますぅ〜♪　楽しみなのでございますぅ〜♪」
「やるう！」　・・・　「──え？　これって、もしかして──
　僕の未来も見せることができちゃうとか？」
「あなた様の未来をお見せすることは、できないのでございますぅ〜♪　先ほどの未来は──　わたくしの、将来、叶えて参りたい夢なのでございますぅ〜♪
　あなた様の未来──　あなた様の、将来、お叶えになられたい夢を拝見いたしたいのでございますぅ〜♪」
「え？　それは──」　それまで、あまり深くは考えてこなかったけれど──　 漠然とだけれど、 あった。「──ああ、やっぱいいや。恥ずかしいや」
「いえいえ、ぜひどうぞなのでございますぅ〜♪──」
「──。　──。　──。　何か、こう──　心地よくて、うれしくて、おいしくて──」　・・・　「──そう！　フルーツのような何かを生み出すこと？
　それは、誰かの心からの笑顔かもしれないし──　何かの作品かもしれないし──　何かについての誰かの活躍かもしれないし── 　そんな──　そんな感じの──」　・・・　「──あれ？　何、言っているんだろうね？」
「すばらしいでございますぅ〜♪　楽しみでございますぅ〜♪」
　コンパースは、真剣に受け止めてくれたんだ。