「ピピピーピピー♪　ピピピーピピー♪」　コンパルンクルの様子は、相変わらずだった。
「──」　無言のまま、コンパルンクルの様子をじっと見続けている彼女。
「──大丈夫？　疲れない？」と僕。
「ええ、大丈夫よ」

　僕の方は、そのコンパルンクルの単調な動きのせいか──　 意に反して、まぶたが、だんだん重たくなっていた。
　　眠ってはいけない。
　　彼女に悪いよ。
　　──でも、眠い。
　　少しだったら、眠ってもいいんじゃないか？
　　彼女はコンパルンクルに集中しているはずさ。きっと、
　気づかないないよ。
　　いや、でも──　・・・
　　っていうか、眠るわけじゃない。目を閉じるだけだよ。
　　そう。目を閉じながら、考え続けるのさ。
　　うん。

　結局、僕は、そのまま目を閉じ、あれこれ考えをめぐらせた。
いかにも考えているポーズを取りながら──。

　　──7番目のパラダイムは、やはり社会的なハードルを
　意味している？
　　それが、パラダイム・フォー・ライフの意味の1つ？
　　うーむ。
　　それとも、別の見方をしたほうがいい？
　　もっとほかの発想をしたほうがいい？
　　それとも──
　　・・・

　　うーん。なかなか前に進めないや。
　　・・・
　　ああ、このまま眠りたくなってきた。
　　でも、眠ってはダメだ。
　　──でも眠たい。
　　いや、ダメだ。
　　・・・

　そのときだ。

　　あ！　ひらめいた！？

　　ひょっとしたら、7番目のパラダイムは一個人の中の心の
　ハードルを意味しているんじゃないか？
　　うん。これは、ある人間の営みが前進する際に生じている
　心のハードルだ！