その後、特製バースデーパンケーキを彼女に提供するために、僕は台所で格闘した。
「あっちぃ！！」　僕は急いで指を水道水で冷やした。
「──大丈夫？」　ベッドからの彼女の声。
「大丈夫、大丈夫。余裕さ。アハッ。 ──見に来ないんよ。そのまま休んでいるんよ。できあがったら、すぐ知らせるから」
「ええ、わかったわ。 ──なんだか『鶴の恩返し』みたい」

　そして──
「ジャーン！　堂々の完成！♪」　そう言いつつ、僕はできたての“フルーツ＆生クリームたっぷりonパンケーキ”を彼女の元へ運んだ。
「うわー、おいしそう♪」　笑みがあふれる彼女の顔。
「だろだろ？」
　 ──バナナ、みかん、いちご、りんご、キウイフルーツ、生クリームのもと、ヨーグルト、牛乳、卵、ホットケーキのもと…　 僕があらかじめバイト先のスーパーで買って準備していた材料に、彼女の家にあった材料を適度に加えて作ったケーキだった。

「いただきまーす♪」　彼女はフォークを使い、大きく口を開けて口に含んだ。 モグモグモグ …　「──おいしーい！　とっても、おいしいよ！　 ──シアワセ♡♪」
「アハッ。“スペシャル・デラックス・生クリームたっぷり・フルーツフル・ケーキ”と呼んでくれたまえ♪　アッハッハッ！」