3Steps理論において認められる、フラクタルは、主として、“フラクタル相似の原理”を反映するものである。
　このフラクタルには、大きく2種類ある。
　　　レベルフラクタル（垂直方向のフラクタル）と、サイズフラクタル（水平方向のフラクタル）である。

　レベルフラクタル（垂直方向のフラクタル）とは、“シンプル一様化原理（or 複雑多様化原理）”と関連した“階層性”を示しているフラクタルのことである。　すなわち、「3Stepsの各レベルどうしの関係」として認められるフラクタルである。

　このレベルフラクタル（垂直方向のフラクタル）において、一般に、3Stepsのレベルが低位であるほど構成単位はシンプルであり、より広い自然（nature）に対応できる。
　これが先に述べた「よりズームインしていくほどに、より普遍的で広大な可能性を秘めていて、より広い範囲の自然（nature）を構築できる」という性質である。

　そのレベルフラクタル（垂直方向のフラクタル）が持つ性質を簡単に図示すると次のようになる。

　※ズームインして存在する単純なものほど、より広い範囲の自然（nature）を構築できる例として、次のようなものを挙げられる。
　　例）現在の物理定数とは違う物理定数を持つ宇宙も存在しうる。
　　例）時空の基本構造の社会を構成しないランダムな素スピノールのネットワークも存在しうる。
　　例）一見何の役にも立たない、でたらめなDNA配列も存在しうる。
　　例）1つの個体（細胞の社会）をつくらない細胞も存在しうる（単細胞生物…）。
　　例）（一時的に）生態系を無視した種も存在しうる。
　　　…


　　しかし、現実的には、長期的に見ると、一部のレベルの3Stepsによって、他のレベルの3Steps可能性が大きく絞り込まれてくることがありうる。

　例）ダーウィンの自然選択（＝生態系レベルの3Steps）により、あらゆるレベルの“ライフ”が絞り込まれる。
　例）宇宙論的自然選択（＝物質生成レベルの3Steps）により、あらゆるレベルの“物理”が絞り込まれる。
　　　　（詳細は、EMOES宇宙論2Cosmological Natural Selection〈宇宙論的自然選択〉について）

　そして、“シンプル一様化原理”と関連した階層を持つレベルフラクタル（垂直方向のフラクタル）、すなわち、3Stepsの各レベルをそれぞれ詳しく見ると──　 それぞれの3Stepsのレベルの中で、様々な“サイズ”と関連した階層を、フラクタル的に生じることがある。
　これが“サイズフラクタル（水平方向のフラクタル）”である。


　以下にその具体例を挙げる。

　一般に、水平方向のフラクタルは　創発度、複雑＆シンプル度に関して、垂直方向のフラクタルほどの大きな変化がなく、サイズが変化しているだけであると言える。

　※サイズフラクタルはあくまで異なる“サイズ”に対応したフラクタルである。　それに対し──　 レベルフラクタルは、異なる“創発度”（複雑性＆単純性）と関連したフラクタルである。
　他にも、違いを示すと思われるキーワードがある。　下にまとめてみる。

　※垂直方向のフラクタルと水平方向のフラクタル（レベルラクタルとサイズフラクタル）は、両者ともに、“物質の流れ、エネルギーやエントロピー”が関連している。
　　すべてのフラクタル（水平、垂直）は、熱力学第2法則と調和している。
　　しかし、エネルギーの保存則は、時空が連続と見なすマクロのレベルにおいてのみ成立する。
　　（すなわち、重力子や光子といった不連続な時空の所産は、エネルギー非保存の所産である）
　　ただし、それは、例外的なものと言えるだろう。

　　つまり、ほとんどのフラクタル構造（水平、垂直）は、エネルギーや物質の流れというフィードバックをもつ自己組織化によって誕生してきていると言えるだろう。

　　例）銀河も星も…　　すべての宇宙の構造は、エネルギー＆物質の流れを持つ──
　　例）細胞も、個体も、生態系も、すべてのライフの構造は、エネルギー＆物質の流れを持つ──

　宇宙（【物質の生成レベル】）と生命（【生態系レベル】）は、少なくとも、両者とも“エネルギー＆物質の流れ持つ”という意味において、同じであると言える。