重大なことに気づいたのは、そのあとだった。

　　あの地図がなければ、新しいパラダイム・マスターに出会え
　ない。
　　出会えなければ、残りのパラダイムが何なのかわからない。
　　わからなければ、パラダイム・マスターにはなれない。
　 　！！！


　僕は、急いで海をのぞき込んだ。
　　どこだ！？
　 　・・・
　 　──あっ、あった！　まだ見える！

　いくらか離れた海面上に、地図が浮かんでいた。
　　海に入って取り戻す？
　　──いや、でも、ちとコワくないか？
　　──いや、でも、学校のプールで50メートルは余裕で泳げる
　し、おぼれたりはしないだろう。
　　大丈夫さ。うん。 今しかタイミングがなさそうだし──
　　・・・

　迷ったあげく──、 ──決めた。

　 ──ドボン！
　僕は、海の中へ飛び込んだ。



　けれど──
　そのときの海は、甘くなかった。
　泳いでも泳いでも地図に近づけないばかりか──
「あぐっ」　海面の上に顔を出しているのがやっとで──
「うげっ　うごっ」　　──まずい！　おぼれちまう！？
　思いとは裏腹に、地図との距離がますます広がる一方で──
「おぐっ　おごっ」　　──引き返す？　でも、地図が必要だ。
「おごげっ」　　──しずんだ！？
　とうとう地図を見失った。