14.進化の本質の一般化

　前回の論文（特殊3Steps理論の考察）の中でも述べた──　「進化の本質（書き換え可能性〈組み立て可能性〉＆選択性（可能性の絞り込み））」について、再び検討してみる。


　宇宙（時空＆物質）も進化してきたと言える。　（参考　考察11、13、一般3Steps進化論）

　“重力”のみを持つ宇宙
→“重力、原始的な力（原始的な電磁気力byΔ光子）”のみを持つ宇宙
　　　（以下、原始的な力については省略）
→“重力と電磁気力”を持つ宇宙
→“重力と電磁気力と弱い力”を持つ宇宙
→“重力と電磁気力と弱い力と強い力”──“4つの力”を持つ宇宙

　※もしかしたら、「重力＆原始的な力を持つ宇宙より先に、重力＆電磁気力を持つ宇宙が登場した」ということもあるかもしれない。詳細な見当は、今後の課題である。


　この本当の意味での“宇宙の進化”の過程を経て、現在の標準モデルのパラメーター（物理定数）を持つ、現在の、この宇宙に至ったと思われる。

　そのプロセスを支えるものは、“時空の基本構造〈素スピノールのネットワーク〉の自己組織化に伴う、時空の生成の可能性（組み立て可能性）”、“新たな時空の生成に伴う、新たな物理定数が生成される可能性（書き換え可能性）”であり──　 その“時空の進化”全体の可能性の絞り込み〈Selection〉を行うものが、【物質の生成レベル】の3Stepsであり、まさに、Cosmological Natural Selection〈宇宙論的自然選択〉であった。
　（考察13.Cosmological Natural Selection〈宇宙論的自然選択〉について）

　一方、この現在のこの宇宙の中で──　 やはり、【物質の生成レベル】までの3Stepsに基づきながら、
　（反物質より優位となった）物質は、クォーク＆レプトン→陽子＆中性子→原子核 →原子 →分子、元素（結晶）、様々な天体〈例えば、太陽、地球、月、別のブラックホール、銀河、銀河団、超銀河団、ボイド＆グレートウォール〉… 　と育ってきていると言える。

　つまり、時空の進化についても、物質の進化についても、ともに、「組み立て可能性〈書き換え可能性〉と選択性（可能性の絞り込み）」が認められることになる。


　生命も進化する。
　そのプロセスを支えるものは、“自己組織化による生命の生成の可能性”、“新たな生命の生成に伴う、新たなゲノムの生成の可能性”…　　そして、“それらが適度に絞り込まれる可能性”である。

　つまり、生命における進化おいても、組み立て可能性〈書き換え可能性〉と選択性（可能性の絞り込み）が認められる。



　時空＆物質、生命、どれにおいても、それまでに存在しなかった新しい3Steps が形成されるパターンには、2種類ある。

　　　1.あるレベルの3Steps内における新パターン形成──書き換え可能性による。　比較的、小さな進化である。

　　　2.より高いレベルの3Steps構築による新パターン形成──組み立て可能性による。　比較的、大きな進化である。
　　　　　（新たなレベルの自己組織化が達成されたということであり、新たなシナジーが誕生しており、
　　　　　　“シナジェティク創発原理”が関連していると言える）

　1.と2.の両方の“新しく形成された3Steps”は、新しい選択〈Selection〉（可能性の絞り込み）を達成していくと同時に、別のレベルの3Stepsによって、選択〈Selection〉されうる（絞り込まれる）。

　選択〈Selection〉される際は──　　例えば、もし、新しく出来上がった3Stepsが、それ自身にとっても別の3Stepsにとっても都合の良いものであれば、存続していくことになる。

　※この選択〈Selection〉の際──　 新しい3Stepsは、別のレベルの3Stepsによって、選択〈Selection〉されていることになる。　生態学的自然選択〈Ecological Natural Selection〉や、宇宙論的自然選択〈Cosmological Natural Selection〉は、その“別のレベルによる選択〈Selection〉”の例にほかならない。



　以上の流れが、進化のプロセスの本質にほかならない。
　つまり、書き換え可能性〈組み立て可能性〉（新しい“決まった流れ”──新しい3Stepsを生み出せる能力）と、その選択こそが、進化の本質であるということになる。

　※時空（物理定数（物理法則））も、物質も、細胞も、細胞の社会〈身体〉も、人生も、人間社会も、生態系… も、書き換わり（or 組み立て）＆選択（or 絞り込み）によって進化してきたと言える。
　（※なお、どれも、書き換わることで退化することもありうる）


　書き換え〈組み立て〉可能性、選択性（絞り込み）、小さな進化や大きな進化は、時空レベル〜物質レベル〜生命レベルの、どれにおいても存在している。（下図）

　したがって、少なくとも以上の観点では、時空、物質、生命を区別できないし、境界を認めることができない。


　私は、生命（細胞、個体、人生、生態系…）と物質との間には、深いつながりがあることを前々から認識していたが──
さすがに、「時空（宇宙空間、宇宙論、“宇宙の進化”、相対性理論…）」と、「生命＆物資」は、全く別なものとして、ずっと分けて考えていた。
　しかし、少なくとも以上の考察は、「時空」と、「生命＆物質」との間には、きってもきれない深い関係があることを示唆していると思われる。

　そして、これこそが、一般3Steps理論が導く、大きな結論の1つなのである。


　※【時空の基本構造の生成単位】の△の部分については、はっきりしない。
　果たして、素スピノールが、他の“何か”の組み合わせからできていて、その性質が変わることがありうるのだろうか？
　素スピノール自体の性質が変われば、当然──　 原始ヒッグス場の“4面体”（原始ヒッグス場由来の“4角形”（縮みきったバネ、四極子））の性質、重力子の性質、プレオン∴の性質、光子の性質…　も含め、あらゆる性質が変わる。
　したがって、もし、“新たな宇宙の再生産をより達成しやすいような物理定数を持つ宇宙”へ近づく変化でない限り──　宇宙論的に自然選択され、増えていくことはないだろう。
　しかし、もし、“新たな宇宙の再生産をより達成しやすいような物理定数を持つ宇宙”へ近づく変化であるならば──　　宇宙論的に自然選択され、より増えていくだろう。
　（正しければ、もしかしたら、今すでに、現在のこの素スピノールは、そのようなプロセスを経て選択された結果、存在しているものであると言えると思われる。　そして、書き換え可能性がすでに存在していたし、これからも存在することになると思われる）
　いずれにせよ──　 “宇宙論的自然選択”が繰り広げられ続けていくと考えられる。